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技術項目 1. 静的測定法と動的測定法
(各説明文にリンク) 2. 固有振動法、共振法
3. 独自方式、独自部品の開発
4. 動的測定法
5. 内部摩擦、減衰率、タンデル(tanδ)、Q―1 (Q値の逆数)
6. 振動数(周波数)依存性や歪み依存性
7. 内部摩擦と測定方法
8. 活性化エネルギーの測定方法

1.静的測定法と動的測定法
 ヤング率剛性率の原理はフックの法則に基づいたもので、基本的には試料に曲げや圧縮、ねじりなどの変形を与え、その応力と試料に生じた歪みとの比として求めます。
 通常、機械的に材料試験機や引っ張り、曲げ試験器などという静的な力をかける方式が昔から用いられてきました。このやり方は、基本的な原理に基づいているものの応力はまともに強力な力を与えますから、試料の固定部や保持部にも強大な力がかかるためにそれによる誤差が大きいことがあり、強大な力のかかる装置は各部に大きな負担を生じることになり摩耗や疲労などで偏差が生じることなどが考えられ、一方歪み測定では従来の歪みゲージを貼る方法ではその貼り方に相当の熟練が必要なこと、また測定時間が非常に長いことがあり、実際に繰り返し測定をすると非常にばらつきの大きいものとなりがちです。最も大きな問題は、摩耗や疲労などによる偏差と熟練が必要、時間がかかると言う点があります。特に装置による偏差があると、測定点数で平均しても正常値を求めることはできません。
 これに対して、動的測定法のうち共振法は上記の問題を全く払拭し、非常に精度の高い装置と言えます。


2.固有振動法、共振法
 共振法では、ヤング率剛性率を求めるのに曲げ振動やねじり振動をあたえ、その試料が持つ固有振動を測定してヤング率や剛性率を求めます。物質はその材質のもつ弾性率と寸法によってきまる固有の振動を持っています。この固有の振動と寸法がわかれば弾性率を求めることができます。そこで、この方法を固有振動法といいます。
 固有振動はその試料のもつ振動で、試料自らが持つ振動ですので、同じ振動数(周波数)で振動を与えてやると弱い加振力で試料が大きく振動します。このように弱い外部振動を与えて、試料が固有振動で振動させる方法を共振法(共鳴法)といいます。この共振法は大きな振動を得ることが出来ますので、振動の検出が容易なので広く用いられています。共振法を用いたヤング率剛性率内部摩擦などの測定方法はいろいろあります。その方法の一つとして試料の保持方法による違いがあります。試料の保持方法として基本的に試料の振動の節で試料を保持しますが、材料力学的な分類として両端自由保持方式弊社シリーズや吊り線振動方式、片側固定端片側自由端方式(、両側固定端方式、片側固定片側重り付加方式などがあります。

 両端自由保持方式で試料を共振させて固有振動を求める方式のことを自由共振法(弊社Jシリーズ)と呼んでいます。
自由共振法の場合は、旧式の振動の節を保持せずに(保持できずに)振動箇所で保持する吊り線駆動検出方式(JIS記載)と完全に振動していない節で試料を支持する方式(弊社 JEシリーズJGシリーズ)などがありますが、振動していない節で試料保持する方式(Jシリーズ)が高精度であることは簡単に推測できる事と思います。
 この方式の違いによって、精度、振動の発生、周波数(振動数)などが変わります。

3.独自方式、独自部品の開発
 また、加振方式や検出方式でもその性能は変わってきます。弊社では、各種の測定法を開発する中で、独自の加振や検出センサーなどを開発し、装置の性能アップに用いています。このようなセンシング技術などに必要な要素部品が必要な温度や測定条件に対応できるものが市販品では無い、ということにも起因しています。

4.動的測定法
 特に振動のしない節で支える弊社の自由共振式装置(JEシリーズJGシリーズ)はその精度面で特に優れています。
 精度だけでなく、室温測定では試料の形状や寸法範囲の広さは他の追随を許しません。しかし、高温測定では超音波による反射波の取り間違いと同様に多数生じるにせ振動に測定と同様に、測定間違いを生じる可能性が高く、それなりの弱点もあります。高温測定や振動がふらつきやすい薄板や細線ではでは強制的に節を決める方式(高温用はEGシリーズ、薄板細線用はTEシリーズ)が基本振動の固定が容易になりますので、適しています。
 共振法の大きな特長は、周波数(振動数)測定をしますが、それにはアナログ変化を使わない計測回路ですので、非常に安定で高精度という点があります。こういう使い方の典型的な例は水晶発振子を用いた時計をお考えになるとおわかりと思います。電圧や電流などの微妙な変化が測定精度に影響しない回路構成になっているということです。

5.内部摩擦、減衰率、タンデル(tanδ)、Q―1 (Q値の逆数)
 一般的には材料に振動を与えると、その内部構造によって加えた力に対して少し遅れて反応します。金属のように構造が比較的きれいな(素人表現ですが)材料ですと、比較的にその遅れは小さく樹脂など構造的にお互いが複雑に絡み合っているものはゆっくり変化します。このような反応の遅れは材料内部の構造の乱れ?に起因しています。
 この構造の乱れは振動するときにいろいろなブレーキ的な働きをし、エネルギーを消費しています。この構造の乱れは原子レベルでの転位、空孔などの原子レベルでの欠陥や、結晶の粒界、分子の絡み合いなどがあり、きれいに並んでいる原子配列に無理に潜り込んでいる溶質原子などがあります。また振動によって原子が移動する(拡散する)ときも他の原子との摩擦などで、ブレーキの結果は振動の自然減衰の違いとなって見ることが出来ます。
 このブレーキの違いを物性的に数値としてあらわしたものが、内部摩擦等と呼ばれ、物性研究に用いられています。
 固体物理関係では内部摩擦、機械応用的には(対数)減衰率や減衰能、高分子や樹脂関係ではタンデルとして言われ、電子物性ではQ値が用いられます。お互いの関係は
   内部摩擦タンデル=定数×(減衰率or減衰能)=1/Q
となります。内部摩擦内耗(中国語)ともいわれ、英語ではInternal Friction ですが、通称的に Q inverse とも言われます。
 材料内部の欠陥を評価すると共に、減衰が速いほど振動は速く止まることになりますから、強度を保ちながら欠陥を増やし、その制振材料の評価として使われます。

6.振動数(周波数)依存性や歪み依存性
 材料内部の欠陥によって制振性を上げようとしますが、温度によって違いがあることは当然ですが、構造的に振動数や振動の大きさによってその効果が違うことも容易に想像されます。 従来はこのような条件データはなく、減衰効果だけが材料物性として表示されていましたが、これでは使うときに役に立ちませんでした。最近の学会発表では周波数や歪み大きさとともに減衰性能が発表されています。→周波数依存性

7.内部摩擦と測定方法
 内部摩擦の測定で、要求する内部摩擦のレベルや内部摩擦の生じる原因によって適当な測定方法があります。
 間違った方法を用いて間違ったデータを発表しないようにする必要があります。


8.活性化エネルギーの測定方法(NTPたよりから引用)
 実際に減衰率から活性化エネルギーを求める具体的な手順を示します。
 一般的に強制振動を止めるとその振動は固有振動となり、自由減衰します。物質内部には減衰の原因となる原子や転位ループの振動などがあり、その振動の緩和時間は
   τ=τQ/RT
で示されます。ここで、τは振動因子、Qは活性化エネルギー、Rは気体定数、Tは絶対温度を示します。
測定に用いる振動数をωとしますと、内部摩擦
ピークが最大の時に
   τω=1
が成立します。(ω=2πf  f:周波数)

材料の内部摩擦の温度依存性を測定すると上図のように温度Tでピークが観測され、この時の振動数をωとすると
   τ=1/ω = exp(Q/RT)/ω
この式の両辺のln(自然対数)をとると
   lnω= −Q/RT+lnω
となります。
 次に、同一材の周波数が異なるような試料を作成し(サイズの変更、測定法の変更等)同様に温度依存性を測定するとω2、T2内部摩擦のピークが観測されます。
 そこで、上記と同様に
   lnω= ーQ/RT+lnω
が求められます。
以上の2式において Rは気体定数であり
   lnω=ln(2πf)
   1/RT
は、定数及び実験値として求められます。
 そこで下図のような縦軸をlnω、横軸1/RTとしたグラフに2点をプロットし直線を引きます と、その勾配は活性化エネルギーQを示していることになります。
 又、縦軸の交点は−lnτであり、この値から振動因子τを求めることができます。振動因子のデータの大きさと減衰の原因(格子振動、転位、電子の緩和等)との相関を求め ておけば、次に振動因子を求めるだけで未知の試料の内部を知ることが出来るようになります。
 このような内部摩擦活性化エネルギーとの関係のデータの積み重ねは、鉄鋼、金属関係 で最も進んでいて、新素材研究の大きな一助となっています。
 EG-HTJE-HT等の高温弾性率等測定装置は、動弾性率を求めるだけでなく、同時に測定する内部摩擦の測定によって活性化エネルギーや振動因子等の詳細な物性値を手軽に求めることが出来るようになります。
 特に、EG-HTの場合、従来不可能だったヤング率剛性率の同時測定が出来るだけでなく、横振動の減衰とねじり振動の減衰も同時に測定できるため、振動方向の違いによる内部摩擦の差の研究も、今後の物性の解明研究に、より一層貢献していくものと期待されます。
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